県北雑学

ETOランドの風力発電機

 延岡市北方町、速日の峰(868メートル)山頂に広がるアミューズメントパーク「ETOランド」の一角に、3枚羽根の巨大な風力発電機がある。遠くからだとオモチャの風車のように見えるが、そばにいくと、その大きさに圧倒される。


 事業費は約2億6500万円、旧北方町と新エネルギー産業技術開発機構(NEDO)が半分ずつ負担して、平成11年(1999)3月に完成した。風車を支えるタワーの高さ50メートル、ブレード(羽根)1枚の長さ25メートル、ブレードが一番高いところにきたときの高さは75メートルだから、25階建てのビルの高さに相当する。タワー最下部は直径3.5メートル、外周約11メートル、総重量116トン。完成当時は日本最大級の風力発電機だった。天気のいい日は延岡市街からも見ることができる。


 風力発電機を設置することになったのは、年間通して卓越した風が吹いて発電に有利だったことや、発生した電力で施設に必要な電気を確保するのが大きな理由。発電機は正式には「多極同期発電機」というのだそうで、オランダのラガウェイ社製。瞬間最大出力(風速13メートル以上)750キロワット。一般家庭なら250軒分の電気をまかなうことができる。


 しかし、発電量は風の強弱に左右されるため、1時間当たり平均100数十キロワット程度。それでも年間にすると126万キロワットを発電。約3分の1をETOランドで消費し、余った電気は九州電力に売電している。常在節電とクリーンエネルギー時代だけに、ETOランド式の“自家発電パーク”は、今後増えそうだ。風車の下にはドーム型の「風と電気の博物館」になっている。館内には風を体験できる設備、風や電気に関する書籍・展示物が整っている。このほかETOランドには、日本最大級の人工芝スキー場、スーパースライダー、ゴーカート、電動カート、ミニコースター、レーザーガンゴルフ(18ホール)、パターゴルフ、レストラン、宿泊施設、展望風呂などがある。ETOランドへは、延岡市街からだと国道218号線(延岡市北方町川水流経由)または県道49号線(延岡市上三輪町経由)を抜け、六峰街道に入れば、50分ほどで着く。

 日向市・門川町からは国道388号線、県道20号線(美郷町北郷区黒木経由)を通り、六峰街道に入る。日向市からでも約1時間で行ける。ほかに北郷区宇納間から中小屋を経由するルートや、日之影町側からもアクセス道路がある。山頂からの眺めは抜群。360度のパノラマが広がり、東に延岡市街と日向灘、西は遠く阿蘇山を望むことができる。雲海の名所でもあり、高千穂町の国見ケ丘から見た雲海に勝るとも劣らぬ雄大な景観を呈する。