日向市東郷町若山牧水顕彰会・小林理教会長に聞く

 



 

小林理教さん

 

歌人・若山牧水生誕の地・東郷村(現日向市東郷町)に「若山牧水顕彰会」が誕生したのは、昭和26年(1951)。今年で61年目を迎えた。この5月、会長に就任した小林理教さん(79)=元東郷町長=に、顕彰会誕生の経緯や活動状況などを聞いた。(以下その要旨)
戦後間もない時期に、村長だった小野弘さん、東郷中校長の塩月儀市さんらが村民に呼びかけて顕彰会をつくったのですが、大変苦労されたようです。
当時は「牧水は大酒飲みの親不孝者じゃないか」とか、「牧水は東郷のために何もしていないではないか」というのが村民の〝牧水観〟というか、議会でも、それくらいの認識しかなかったようです。
しかし、小野さんや塩月さんは「短歌を極めた牧水を大事にしたい」と、現在に至る顕彰の流れをつくられたわけです。その後は毎年「牧水祭」をしたり、村報で毎号、牧水啓発してきたのです。
「牧水賞」がスタートしてからは、全国から注目される地域になりました。また牧水賞を受けられた方の活躍は目覚しく、うれしく思っています。
牧水のおかげで、焼酎工場も誘致できましたし、牧水橋(牧水生家前の坪谷川に架かる橋)や農免道路の事業採択も、牧水のおかげです。
若山牧水記念文学館をつくるときは、過疎対策事業を総務省の過疎対策室が所管していて、全国で5つの枠に希望がひしめいていました。それを当時の松形知事に力を入れていていただき、また過疎対策室の室長が牧水のファンだったこともあって、採択されたと思うのです。
松形知事が2000年宮崎サミットの誘致を、小渕恵三さん(元総理)にお願いした際、以前、小渕さんが牧水記念館を訪れて書かれた色紙の写しを、知事が取り出してお見せしたら、小渕さんはニッコリされたそうです。知事はこのとき誘致を確信したと言っておられました。これも牧水のおかげです。
今は、子どもたちがふるさとを大事にするために、牧水をふるさと教育の柱にしています。坪谷小の児童は牧水を慕い尊敬し、毎朝登校するときは校門で牧水の歌を吟唱しています。
顕彰会の行事としては、毎年、牧水の命日にあたる9月17日に「牧水祭」、毎年5回の短歌実作講座(講師は歌人で若山牧水記念文学館館長の伊藤一彦さん)の開催、県外での牧水展の開催、また今年から「青の国」若山牧水短歌大会を実施することになりました。
今後は延岡、沼津の顕彰会など各地の団体と連携を深めていきたいと思っています。