滝、満々の水

 

県北は山がちで川も多く、それに伴ってダムもたくさんあります。中でも日向市の南部を貫く耳川には、日本最初のアーチダムの上椎葉ダムをはじめ、塚原ダム、大内原ダム、五ヶ瀬川は窓の瀬ダム、星山ダム、祝子川は祝子ダム、浜砂ダム、北川は北川ダム(大分県)、下赤ダムと、主なものを挙げただけでも、これだけあります。

 これらのダムは灌漑(かんがい)、発電、工業用水、治水などに利用され、私たちの暮らしを支えています。

 県北で最も大きなダムは、上椎葉ダムで1955年(昭和30年)に完成しました。堤高110メートル、堤長341メートル、総貯水量7600万立方メートル、ダム本体の体積は39万立方メートルあります。

 この工事に使われた砂は、全て延岡市長浜海岸の大瀬川河口側(毛無ヶ浜の長浜町側)のもので、鉄製の大きなバスケットを索道(ロープウエイ=リフト)によって、延々58キロ先の上椎葉まで運んだのです。砂だけでなく、セメントや鋼材なども、多くは索道を使って延岡から運び込まれました。
その索道を市民は「さるぎかい」と呼んで、親しみました。

 それにしても、延岡の砂が上椎葉ダムに生まれ変わったのですから、おもしろいものです。その砂も、もとはと言えば、椎葉村と五ヶ瀬町の境などから五ヶ瀬川が運んできたものです。不思議な因果ですね。

 このほかダムには、砂防ダムや防災ダムがあります。砂防ダムは県北には数え切れないほどたくさんあるので、紹介できませんが、防災ダムは門川町の門川防災ダム(鳴子川)と、延岡市の沖田ダム(沖田川)があります。沖田ダムの方は、ダム湖が一周できるため、かっこうのジョギングコースになっています。


 

 
 県北は山がちなため、滝がたくさんあります。天下の大瀑布といわれるような滝はありませんが、滝か急流か判定できないようなものまで含めると、無数といってもいいでしょう。

 「日本の滝百選」に入っている県内の滝は、行縢の滝(延岡市)、真名井の滝(高千穂町)、矢研(やとぎ) の滝(都濃町)、関之尾滝(都城市)の4か所です。また百選プラス特選瀑布として、津々良の滝(門川町)が名を連ねています。

 しかし、県北に限ってみますと、那智の滝(延岡市)、落水の滝(同北川町)、観音滝(同北浦町)、観音滝(日向市)、八戸観音滝(日之影町)、うのこの滝(五ヶ瀬町)、 轟の滝(同)、白滝(同)、大斗(おせり)の滝(美郷町西郷区)、雄滝(同北郷区)など、素晴らしい滝がいくつもあり、日本の滝百選に選ばれてもおかしくないものばかりです。
 このほか、日向市の石並川の瀑布群は、上流に数十の滝があり、”滝マニア”だけでなく、多くの人をひきつけています。

 滝は昔から神聖な場所として、信仰の対象になっている所が多く、全国各地にある那智の滝、観音滝などがそうです。物語や伝説が残っている滝もあります。

 絶え間なく流れ落ちる水に、夏場は涼を求めて、あるいはマイナスイオンで胸いっぱいに満たしたいという方は、県北の滝めぐりもいいものです。春は新緑、秋は紅葉、そして中には落水の滝のように、冬場は凍結してしまう所もあり、季節の変化にも富んでいます。