高千穂再発見

今や、世界各国から観光客が訪れる高千穂の魅力とは

高千穂町が今、かつてないにぎわいをみせている。年間入り込み客150万人、1日4000人を超え、押しも押されもせぬ宮崎県一の観光地である。近年のスピリチュアル・パワースポット、歴史、神話ブームは、人々に望郷心を抱かせ“日本発祥の地”、“日本の故郷”高千穂へといざなう。ことに3、4年前から若い女性やカップルが増え、神社の参拝者や神楽見物客の中にその姿を多く見かけるようになった。今後は高千穂観光もグローバルへ。すでに中国や韓国などアジア各国、遠く欧米からの観光客も目立ってきた。そんな高千穂の見どころや新しい名所などを訪ねた。

高千穂峡

 高千穂町観光の看板。約12万年前と約9万年前の2回にわたる阿蘇火砕流の溶結凝灰岩を、五ケ瀬川が侵食して現在の峡谷に。多様な形の柱状節理(柱状岩)は見事。国の名勝・天然記念物、祖母傾国定公園。
柱状岩渓谷に注ぎ込む「真名井の滝」は日本の滝百選。春の新緑、秋の紅葉は絶景。夏はライトアップされる。峡谷一帯には神話の里らしく「おのころ島」「七つが池」「月形・日形」「鬼八の力石」(鬼の力石)「神硯の岩」(みすずりのいわ)のほか、「玉垂れの滝」「甌穴」(おうけつ)「淡水魚水族館」などがある。
 高千穂峡散策は遊歩道を歩くのが一番。峡谷中ほどの鬼八の力石近くの水面から顔を出しているハート形の岩を見つけられたら幸運。峡谷美は手漕ぎボート(30分1500円、定員3人)でも楽しめる。役場から車5分。

 多くの観光名所が所狭しと点在する高千穂町には、たくさんの観光パンフレットや観光地図が道の駅、神社などいたるところで手に入ります。
中でもイラストマップは大変わかりやすく、まずはこれを手に入れることをおすすめします。他に高千穂峡周辺ガイドマップや、浅ヶ部八十八ヶ所霊場を巡るマップもあります。パンフレットを集めるのも楽しみの一つかもしれません。

 

 

神社

神話の里・高千穂には由緒ある多くの神社が点在する。毎日多くの参拝者が訪れ、最近は「パワースポット」ブームに乗って、若い人の姿も目立ってきた。


槵觸神社(くしふるじんじゃ)高千穂町三田井

 天孫ニニギノミコトが天降られたくしふる峰に鎮座。近くに高天原と四皇子峰がある。社 殿は元禄7年(1694)の造営。祭神はニニギノミコトほか、アメノコヤネノミコト、フトダマノミコト、フツヌシノミコト、タケミカヅチオノミコトと、春 日四神のうち三神を祀るのも興味深い。役場から車2分。

 

天真名井

 天孫ニニギノミコトが降臨の際、この地に水がなかったことから、アメノムラクモノミコトが高天原から天真名井の水種を移したと伝えられる。ケヤキの巨木の下から清水が湧き出している。天真名井の横を流れる川は五ケ瀬川支流の神代川(じんだいがわ)。くしふる神社から徒歩3分。

夜泣き石

  村に災いがあるとき、石がうごめき知らせたという。コノハナサクヤヒメがお産のときに、この石に抱きついたという伝説も。夜泣きの激しい赤ん坊が、この石にさわると泣きやむという言い伝えもある。天真名井の対岸にあり、くしふる神社から徒歩3分。


 二上神社(ふたがみじんじゃ)高千穂町押方

イザナギ、イザナミの夫婦神を祀る。御神体は雄岳、雌岳からなる二上(ふたがみ)山。社殿は二上山麓に鎮座。一の鳥居は県北では珍しい両部鳥居。神仏習合のなごりか。旧拝殿の天井画は一見の価値がある。役場から車20分。

 

 

 

 


荒立神社(あらたてじんじゃ)高千穂町三田井宮尾野

祭神は天孫降臨の道案内役・サルタヒコノミコトと、天岩戸開きのときに岩戸の前で舞いを舞ったアメノウズメノミコト。サルタヒコは仏教(青面金剛)と習合、庚申(こうしん)信仰にもなった。現在も道開きの神(交通安全、縁談など)として崇敬厚い。アメノウズメノミコトは芸事上達成就、子宝、安産などの神。最近は若い女性やカップルに人気がある。境内の「七福徳寿板木」は、7回打つと願いが叶うとか。役場から車3分。

 

 

 


高千穂神社(たかちほじんじゃ)高千穂町三田井

 

鬼八(きはち)伝説や観光夜神楽で知られる高千穂八十八社の総本社(国指定重要文化財)。「日向三代」(皇祖神)と十社大明神を祀(まつ)る。社殿周囲には樹齢800年の「秩父杉」(県の巨樹百選)や「夫婦杉」など鎮守の巨樹群。
拝殿の鎌倉時代作といわれる鉄造狛犬は、国の重要文化財。本殿には三毛入野命(ミケヌノミコト)が荒神・鬼八を退治する様を表現した迫力ある木製彫刻は一見の価値がある。そのすぐ右下にパワーストーンの「鎮め石」。カップルや若い女性が石に手をかざしている光景をよく見かける。役場から車3分。

 


天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)・天安河原(あまのやすがわら)高千穂町岩戸

岩戸川を挟んで東本宮と西本宮がある。東本宮は大日孁尊(オオヒルメノミコト)、西本宮は天照皇大神(アマテラススメオオミカミ)が主祭神。どちらも天照大神のこと。両宮の間に御神体の天岩戸がある。役場から車15分。
岩戸川の河原が天安河原。河岸の洞穴が「仰慕窟」(ぎょうぼがいわや)。天照大神が天岩屋にお隠れになったとき、八百万の神がここに集合。大神を天岩戸から出すのに知恵をしぼった。
仰慕窟には無数の積み石があり、神秘の世界を現出。窟奥の社(やしろ)は知恵の神・オモイカネノカミを祀る。天岩戸神社西本宮から徒歩10分。