宮崎県北の奇岩奇石

山がちな県北は、複雑な地形と地質が物語るように、奇岩や奇石がたくさん見られる。火成岩あり、堆積岩あり、変成岩ありで非常に興味深い。中には神話や伝説を秘めたものや、信仰の対象として祭られているものもある。県北の奇岩・奇石、また学術的に価値の高いものをいくつか訪ねた。山体そのものや時代的に新しいのがハッキリしているもの、容易に見ることができないものはできるだけ除いた。

 

高千穂/お問い合せ/高千穂町観光協会 ☎0982-73-1213

 

鬼八の力石(きはちのちからいし)

場所…高千穂峡遊歩道沿い中程

高千穂峡の中ほどに鎮座する推定200トンの巨石。その昔、二上山の鬼八(きはち)という鬼を、三毛入野命(ミケヌノミコト)が退治しようとしたところ、逃げる鬼八がミコトめがけて投げつけたのがこの石。ミケヌノミコトは神武天皇のすぐ上のお兄さん。高千穂神社祭神の一柱。

 

 

 

月形・日形(つきがた・ひがた)

場所…高千穂峡遊歩道沿い

高千峡「玉垂れの滝」の真上にある三日月形の岩。
スサノオノミコトが乱暴をはたらいたお詫びとして、姉神の天照大神は太陽の形に、自分は月の光りの半分もないと、三日月形に彫ったという。日形は残っていない。
 


 


甌穴(おうけつ)

場所…高千穂峡遊歩道沿い神橋そば

高千穂峡に架かる神橋から少し下った橋の下にある。阿蘇溶結凝灰岩が水と礫(れき)によってえぐられ、窪みができたもの。高千穂峡では夏最も涼しい場所。


 


殿の岩

場所…高千穂町秋元。秋元集落から秋元神社方向へ車で2分。

秋元にある巨石。一般には迷子石といわれるが、地元では「殿の岩」と呼ばれている。三階建てビルほどの大きさがあり、迫力満点。付近には、ほかに「長九郎岩」「神武天皇腰掛の岩」と名付けられた巨石が点在。高千穂町役場から車で約40分、延岡市街からは天翔大橋経由で約1時間20分。

 

 

日之影/お問い合せ/日之影町観光協会 ☎0982-87-3910

鹿川の巨石群

場所…日之影町鹿川沿い

「田の中の岩」「名なし岩」「こしき岩」「かんげ岩」「どんどん岩」「割れ岩」「黒尊岩」(くろずみいわ=黒尊様)といった名前が付いている。まるで巨石の展示会場。「かんげ岩」「黒尊岩」は山奥にあって容易には見られないが、「田の中の岩」「名なし岩」などは道路端から見ることができる。

 

 

 

延岡/お問い合せ/延岡市商業観光課 ☎0982-34-7833・延岡観光協会 ☎0982-29-2155

福岩(じょふくいわ)

場所…今山八幡宮の鳥居脇

紀元前220年ごろ。秦の始皇帝の命を受けた徐福は、蓬莱山にあるという不老不死の薬草を求めて今山(蓬莱山)の麓にたどり着き、波打ち際の岩に船を繋ぎとめたといわれる。平成12年、岡富小の敷地にあった岩を、今山八幡宮一の鳥居脇に移設して碑を建立。

 

 

 


ドンク岩(どんくいわ)

場所…東海町川口から500メートルほど安井・神戸方面に寄った浜辺にある岩

横から見るとドンク(ガマガエル)に似ていることからその名がついた。海の安全・大漁を見守るドンクである。

 

 


岩・赤岩(くろいわ・あかいし)

場所…東海町川口から500メートルほど安井・神戸に寄った浜辺にある港神社下にある二つの石。

赤石は白っぽいが、黒石は真っ黒な高純度マンガン鉱。大きさは2つとも長径1メートル、短径50センチ程度。石の間を通ったり、さわったりすれば、大病を患い、地震が起こると、恐れられている半面、雨乞いには効果テキメンとか。

 

 

 

 

ガンガン石(がんがんいし)

場所…大貫町4丁目の変形五差路の角にある。

重ねモチのようになっていて、台座の石からの高さ1.8メートル。台座は天然の露出岩だが、上の石は人為的に積まれたものらしい。古墳時代の前か、それとも後のものかハッキリしない。雨乞いに使われたともいわれる。石ころや棒切れで叩くと、カンカンと高い音がする。延岡で最も有名な石の一つ。 


 

 

 

 

 

鉾岩(ほこいわ)

場所…延岡市北川町の可愛岳(えのたけ、727メートル)山頂付

延岡市北川町の可愛岳(えのたけ、727メートル)山頂付近、延岡市内はもとより遠くは日向市まで見渡せる断崖に、墓石を思わせる奇岩がある。天孫降臨で知られる瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の御陵墓とされる巨石遺跡「鉾岩」(ほこいわ)だ。瓊瓊杵尊は天照大神(アマテラスオオミノカミ)の孫に当たり、高天原から高千穂に降臨し、“ひむか神話”のはじまりとなった人。可愛岳の麓の俵野には、宮内庁が瓊瓊杵尊の御陵墓「可愛山陵伝説地」(のちに参考地)と認めた経塚古墳がある。

日本書紀に「久しくましまして天津彦彦火瓊瓊杵尊崩(かむあが)りましぬ。因って筑紫の日向の可愛(え)の山陵に葬(おさ)めまつる」とあるのが、御陵墓伝説の根拠といわれている。かつては可愛岳山腹に社殿があり、「鉾岩」を御陵墓として祀っていたが、人々の参詣に不便なことから麓の経塚古墳に移したと伝えられている。「鉾岩」のすぐ近くに、2つの巨岩(一つは円錐形)があり、これらを含めた「三本岩」が御陵墓という説もある。

 

 

時として、奇岩や奇石は信仰の対象にもなる。
自然の力が生み出したもの凄いパワーを感じるからだろうか。
それらを目の前にすると現代に生きるあなたもきっと圧倒されてしまうことだろう。
宮﨑県北の自然が造形した、岩や石。
ぜひ自分の目で確かめて欲しい。


日向市/お問い合せ/日向市観光振興課 ☎0982-52-2111㈹・日向市観光協会 ☎0982-55-0235

越表の甌穴群(こしおもてのおうけつぐん)

場所…日向市東郷町小丸川沿い

東郷町児洗から美郷町南郷区神門方面へ、国道446号を2分ほど走った越表の小丸川沿いにある。白っぽい花崗斑岩(火成岩)にいくつもの大きな窪みがあり、非常に美しい一大甌穴群を形成している。花崗斑岩と頁岩(けつがん)の接触部も見られる。川への転落注意。




 

さざれ石(さざれいし)

場所…大御神社境内入って奥にある。

大御神社境内の南側にある巨大な礫(れき)岩。つまり「国歌」の歌詞にある「さざれ石」そのもの。平成15年(2003)、境内拡張工事に伴って発見された。高さ4メートル、周囲30メートル。「神座」(かみくら)と命名。神座周辺もさざれ石で、規模は日本一。すぐそばに「ドラゴンボール」がある。




米ノ山のメンヒル(こめのやまのめんひる)

場所…米の山の山頂

米ノ山の山頂にある。メンヒル(単一の直立した石碑)ではあるが、周辺は人為的に配置されたような石が環状をなしており、ストンサークル(環状列石)ともいえる。「大権現八大龍王」が祀られ、両脇のノボリは地元の漁業者が海の安全・大漁を祈願して奉納したもの。米ノ山駐車場から徒歩2分。





 

神武天皇御腰掛の岩(じんむてんのうおこしかけのいわ)

場所…美々津町の立磐神社境内に鎮座

美々津町の立磐神社境内に鎮座。直径1メートルほど。注連縄が張られ、塀で囲ってある。立磐神社は神武天皇(カムヤマトイワレビコノミコト)の大和平定(東征)お船出の地。天皇は船出まで、この岩に腰掛けておられたと伝えられる。



那須与一鎧掛之岩(なすのよいちよろいかけのいわ)

場所…富高八幡神社の境内

富高八幡神社の境内にある。子供の背丈ほどの小岩だが、源氏の名将・那須与一が平家の残党征伐のため日向国にやって来て、富高八幡宮に参拝したとき、脱いだ鎧(よろい)を掛けたと伝えられる岩。しかし、与一は病を患い、椎葉の平家残党討伐は弟の那須大八郎に託した。椎葉での大八郎と鶴富姫の悲恋物語は有名。




門川町/お問い合せ/門川町役場産業振興課・門川町観光協会 ☎0982-63-1140

庵川海岸のスランプ(いおりがわかいがんのすらんぷ)

場所…門川湾の北側一帯

キレイな縞模様の堆積岩の中にグニャリ曲がったものや、ごちゃごちゃになった地層が庵川漁港の東側などにある。地層が堆積するときに崩れたものが固まったもので「スランプ構造」と呼ばれる。

見物は干潮のときでないと危険。




ミステリーサークル

場所…門川町中央公民館に展示

バームクーヘン状の奇妙な泥質岩。平成4年(1992)五十鈴川沿いの国道388号拡張現場で発見された。約9万年前、阿蘇火砕流が沼地のような場所に流れ込んで出来たものといわれており、世界的にも珍しく「ミステリーサークル」の名が付いた。1メートル四方のケースに収められている。

 

 

美郷町/お問い合せ/美郷町企画情報課 ☎0982-66-3603
 

鬼神野溶岩渓谷(きじのようがんけいこく)

場所…美郷町と椎葉村の境近くの国道388号に沿った小丸川の渓谷

美郷町と椎葉村の境近くの国道388号に沿った小丸川の渓谷にある。約1億2000万年前、赤道近くの海底で噴出した枕状溶岩が、5500万年前に隆起して地上に現れたもの。全長約500メートル。文字通り枕がたくさん重なったように見える。規模・美しさともに日本一。県指定天然記念物。谷の方へ降りられるが、転落注意。




舟方轟(ふなかたとどろ)

場所…北郷黒木から(にゅうした)、宇納間方面へ向かう途中の国道388号沿い

北郷区黒木から入下(にゅうした)、宇納間方面へ向かう途中にある。階段状の硬い砂岩層が五十鈴川を横切っており、県北を代表する奇岩の一つ。国道388号沿いにあるため、車を止めてすぐ見ることができる。