専門家に聞く正しいウオーキング



 ウオーキングの正しい歩き方を一言で表現すると「あごを引き、まっすぐ前を向き、胸を張ってひじを曲げて腕を振り、腰から前に進むイメージ」となります。もっとも、難しく考える必要はなくて、普段の歩き方が、その人に適したフォームになっているはずなので、そのフォームを基本に、普段より少し速く、歩幅とひじを曲げての腕振りに気をつけて歩けばよいのです。
 特に「ひじを軽く曲げ、腕を振る」ことを意識すると効果的です。利点は①腕を振ることで、より大きな推進力が生じ、楽に速く歩くことができる②腕の運動が加わることで、活動する筋量が増え、消費エネルギーを増やすことができる③腕を伸ばして振るよりも、曲げて振った方が上体のひねり運動が加わり、ボディ・インナー・マッスルを有効に使うことができる︱というところにあります。腕や上体が疲れたら、ひじを伸ばして歩き、回復したら、また曲げてと繰り返していけばいいと思います。
 ただし、痛みが出たり、何か不都合なことが出てきたりした場合は、次のことを注意してみてください(左記ウオーキングの注意点参照)。
 なお、ウオーキングの目標速度は個人ごとに違います。普通に歩いたときの速度より「やや速く歩く」が目安です。歩いていて「楽」から「ややきつい」と感じる程度で、一緒に歩いている人と楽しく会話ができるくらいが理想的ですね。
 最後にひとつだけ。「痛い」「疲れた」は体からの「あぶないぞ」という信号です。ときには中断する勇気も必要です。たとえば1週間中断したとしても、1年という単位で見れば、たいしたことではありません。要は、長いスパンで運動を続けていくということが大事なのです。水分補給に気をつけて、体と相談しながら無理をせずにウオーキングを楽しんでください。


九州保健福祉大学社会福祉学部
スポーツ健康福祉学科
正 野  知 基 教授