本物と同じ造り「西の正倉院」

本物と同じ造り「西の正倉院」


 南郷を初めて訪れた人が、度肝を抜かれる巨大な建物がある。「西の正倉院」だ。奈良の正倉院のレプリカとはいえ、本物と寸分も違わぬ大きさ・構造になっている。

 建設のキッカケとなったのは、百済王族の遺物として神門神社に伝えられてきた24面の鏡一つ「唐花六花鏡」。なんと、東大寺大仏殿の台座から発見され、正倉院に収蔵されている鏡と同じものということが分かり、西の正倉院計画が持ち上がった。

 校倉造(あぜくらづくり)で知られる国宝・正倉院の図面は、宮内庁所管のものであり、門外不出だったが、同庁や建設省の許可、奈良国立文化財研究所の学術的な支援を受けて着工、計画から10年を経て平成8年(1996)5月、落成した。

 建物は樹齢4、500年の木曽のヒノキをふんだんに使い、カワラや柱はもちろん、金具やクギにいたるまで忠実に再現された。高さ約13メートル、幅約33メートル、奥行約9メートル。工費約16億円。

 内部には「唐花六花鏡」など24面の鏡や、西の正倉院の校倉造に使われたヒノキ材の見本、「師走まつり」の資料などが展示されている。
 入館料500 円(百済の館の入館料込み)。年中無休。℡0982-59-0556。