特集~宮崎県北の自然を知る③

 

1.野生動物写真家に訊く県北の自然
2.絶滅危惧されている生物たち
3.わたしたちに出来ること

 

 

 では、私たちは、何ができるのでしょうか。県北では、山に木を植えたり、川や海を守ったりと、さまざまな環境保護団体が活動しています。
門川町のNPO法人「子どもの森」(横山謙一理事長)もその一つ。活動を始めて5年。当初10人だった会員は30人まで増え、活動が着実に根付きつつあります。 
 子どもの森の活動は西門川小学校松瀬分校跡地を活用した「森の学舎」を拠点に、森づくりと環境プログラムの2つに取り組んでいます。 
 森づくりは2カ所でやっていて、広葉樹を植樹したり下草刈りをして、門川高校の生徒や一般公募した子供たちと一緒に山に親しんでいます。環境プログラムは体験型の環境学習です。今年は2つ予定していて、川遊びと、山をテーマにした宿泊型環境学習です。川でネイチャーゲームをしたり、魚つりやエビとりを楽しんだりします。宿泊型環境学習は森の学舎で一泊して、どんぐり工作(ネイチャークラフト)をしたり、どんぐりから苗木に育てる学習をする予定です。
 理事長の横山さんは「川で自由に泳げなくなった。子どものころと比べると、環境は確実に悪くなっていますね」と言います。確かに昔のような清流は少なくなりました。山も荒れて、流木が大量に流れ込んだりすることは、昔はありませんでした。
 「自然環境を壊す大規模な土木工事などもありますが、結局は人間がやること。ごみをひとつ捨てるといった積み重ねが自然を壊すのではないでしょうか」と横山さんは指摘します。だから、自然を大事にする心を持った人たちを一人でも多くしたい。壊れた自然、問題視される自然環境を自分たちができる範囲で改善していく人たちを増やしたい。横山さんたちの活動の目標は、そこにあります。
 「子どもの森が行っているプログラムが直接環境を良くするわけではありません。ただ、この活動を通して、体験した子供たちが次の時代のリーダーとなり、環境を守る輪を広げていくと思うのです。ひとりひとりの力は小さいけれど集まれば大きな力になる。そうして環境を少しでも良くしていければ」
 子どもの森の活動に直接参加する人、寄付金をくれる人、さまざまな形で支援する人が増えつつあります。横山さんは言います。「まずは環境に関心を持ってみてはどうでしょう。そして、ちょっと勉強してみる。すると自分でできることがあるかもしれません。家庭で無駄な電気を消したり、風呂に続けて入ったりと、普段から環境のことを意識するだけで違うと思うのです」。
 今、「エコ」という言葉が市民権を得つつあります。そのエコを私たちのものにするために、できることから一歩を踏み出す必要がありそうです。その小さな一歩が豊かな自然を守ることにつながるのなら、ちょっとうれしくなりませんか。

▶子どもの森の活動拠点「森の学舎」は
西門川小学 校松瀬分校跡を活用した
▶教室の活動室には環境文庫があるほか、
  宿泊なども出来る
▶五十鈴川でエビ取りに挑戦
  豊かな自然がまだ残っている

▶「川に親しもう」のイベントに参加した親子
  の皆さん

子どもの森HP http://www.kodomonomori.info/