県北に残る自然の神秘

 

 

県北に残る自然の神秘--アカテガニ--
幼生の放出

アカテガニが体を震わせて幼生を放出すると
水面には綺麗な波紋が広がる
日が暮れると、岸辺にはたくさんのアカテガニが幼生の放出のため順番待ちをしているアカテガニが放出した幼生を狙い岸辺にやって来た小魚

 夏の大潮(満月か新月)の夜、県北各地の海岸線では、アカテガニの幼生放出が見られる。すっかり日の落ちた海辺で、半分ほど海水に浸かったメスが体を震わせ、海面に幾重もの波紋を起こしながらゾエアと呼ばれる幼生を放出する姿は、生命の神秘を感じさせる光景だ。
 
  春から夏にかけて交尾の終わったメスは産卵し、小さな卵を腹脚にたくさん抱え、孵化(ふか)まで保護する。抱卵数は約5万粒。母ガニが体をブルブルと震わせると、深緑色した無数の幼生が放出され、海面を埋め尽くす。

 岸辺付近では幼生を狙う小魚の群れや、さらにその小魚を食べる大型のカニ、ボラなどの姿も確認できる。


写真は延岡市櫛津町の妙見湾で撮影した。
県北ではほかに、延岡市熊野江町や日向市日知屋の塩見川河口などでも同様の光景が見られる。