落ち葉に覆われた林間の遍路道(へんろみち、参拝路)を、ゆっくりと登る。4番札所から5番札所へと続く長くて急な登りは、コース最大の難所である。八十八ケ所を巡る遍路の旅は始まったばかり。途中、かつて数千枚あったという段々畑の名残や肥だめ跡などが確認できるが、観察する余裕はない。足が重く感じられ息も荒くなってきた。ようやくたどり着いた5番札所では、石を重ね合わせた祠(ほこら)に鎮座する大師像が待っていた。立ち止まり手を合わせ無病息災、家内安全を願い、次の札所を目指した——。延岡市の最北端に近い北浦町宮野浦。背後にある遠見山の尾根伝いには88体の大師像が安置されている。宮野浦の「お大師さん」を訪ねた。