のべおか今山大姉祭
延岡三山の一つ今山、その頂上に日本一の高さを誇る弘法大師銅像があります。建立から今年で54年、人々の安寧を願って市街地を見下ろしています。

弘法大師(空海)は、和歌山県の高野山に金剛峰寺を創建した真言宗開祖として知られています。大師は全国行脚したこともあって、真言宗の寺院とは別に、大師にまつわる伝説や史跡、八十八カ所霊場、大師堂、大師像などが各地に見られます。
今山大師は天保10年(1839)、延岡地方に疫病が流行したことから、信者たちが疫病封じに金剛峰寺から弘法大師座像を勧請(かんじょう=神仏の分身や霊を移して祭ること)、今山に大師庵を建てて祭るようになったのが由来です。
現在の大師堂を建立したのは、今山大師寺1世の円帰哲禅師で、大正7年(1918)のことです。2世が弘法大師銅像を建立した野中豪雄師、その後、3世・野中忠雄師、そして現住職の野中玄雄師に引き継がれています。
弘法大師銅像は、昭和32年(1957)4月に開眼しました。台座からの高さ18メートル、重さは11トンもあって、弘法大師の銅像としては日本一の規模です。
台座の内部には、四国八十八カ所の「お砂踏み」や極楽地獄絵図、両界曼荼羅などが展示され、台座屋上は延岡市街が見渡せる展望台になっています。展望台は大師の足元になっていて、大師の足を直接手でなでることもできます。
大師堂への参道や大師像周辺は、今山八十八カ所(明治20年開山)や菩薩像や羅漢像、慰霊碑、筆塚、花塚、茶筅(ちゃせん)塚、髪塚などが所狭しと並び、延岡の霊山として人々の崇敬厚い場所になっているのが実感できます。
さて、今山大師祭ですが、延岡市民には「お大師さん」(おだいっさん)と呼ばれて親しまれている延岡最大の祭りです。春の九州三大祭りの一つに数えられ、延岡の街は祭り一色に塗りつぶされます。
今年のお大師さんは4月15、16、17日の3日間です。今年のお祭りテーマは「ガンバレ、宮崎!息災繁栄、お大師さん!!」です。口蹄疫からの復興、新燃岳の鎮静、鳥インフルエンザの終息、そして家内安全・世界平和を祈念する大祭にしようという市民・県民の願いが込められています。サブテーマは「祈りの賑わい、お接待の安らぎ」です。
祭り期間中は延岡市とその周辺だけでなく、遠く北九州や四国各県からも参拝者が訪れ、3日間で約30万人の人出が予想されています。
催しは、例年通り大師像前広場で福引や福餅まき、記念品引き換え、演芸大会、奉納書道展などがあり、街では見立て細工(作りもん)、市中パレード(4月17日)などがあります。特別企画として昨年参加した徳島の「阿波踊り」(天水連一行25人)隊は、今年も参加を予定しています。
また、メイン通りや今山大師に続く参道には、数え切れないほどの露店が並び、祭りを盛り上げます。
お大師さんといえば、市民や参拝者のもう一つの楽しみは「お接待」です。お接待を受けなければ、お大師さんが来た気がしないという人もいるほどです。
家の前や店の前に弘法大師の小さな尊像を飾り、尊像に手を合わせて参拝した人には、赤飯やお茶、お菓子などの接待を受けることができます。弘法大師が分け隔てなく施しを与えた慈悲の心が、現代の私たちに伝わってきます。

 

 

今年のテーマは「ガンバレ、宮崎!息災繁栄、お大師さん!!」