水を守る

北川漁協の取り組み

延岡市北川町内の内水面漁協「北川漁業協同組合」(長瀬一己組合長、437人)は、川をかけがえのない環境資源・財産として認識し、さまざまな活動を繰り広げている。なかでも、全国的にも先進的な取り組みとして評価されているのが「水を守る森を残そうかい」の活動だろう。
ミネラル分を含んだ豊かな水をつくる大本となる河川流域の雑木林を、漁協が所有者から直接借り上げることで、森林の持つ保水・浄化機能を保全していこうというもの。
海面漁協を中心に、山に植林することで環境保全を図ろうという運動は全国的にも一般化してきたが、仮に落葉樹や広葉樹を植林したとしても林や森を形成するまでには、最低でも10〜15年はかかる。それならば、30〜50年が経ちようやく本来の機能を発揮し始めた雑木林を借り上げ、木が伐採されないようにした方が手っ取り早い。加えて、苗の植え付けや下草刈りといった、森林を造成するまでの手間暇もかからない、と考えたからだ
長瀬組合長が就任した翌年、平成12年にまず52ヘクタールを借り上げてスタートしたこの運動は、現在までに486ヘクタールまで拡大。平成18年に「日本水大賞 水資源功労者表彰 国土交通大臣表彰」を受けるなど、各方面から高い評価を受けている。
「人間の力だけで水をきれいにするのは不可能。森を残すことでミネラル分を含んだ良質の水やきれいな酸素が供給され、保水機能が守られることで災害から人間の暮らしを守ることにもつながる」という長瀬組合長。その信念が、196種類もの多様な水生生物が暮らす豊かな清流、北川を守る原動力になっている。

  ▲マスのつかみ捕り大会、きれいなニジマスだ

  ▲大勢の人で賑わうマスのつかみ捕り大会

 ▲アユのちょんがけ大会の風景

 ▲アユのちょんがけ大会、みんな必死だ