天然記念物 アカウミガメの産卵
サーファーがこよなく愛す日向市の浜辺は、自然界の動植物にとっても貴重な生息場所でもある。毎年、5〜8月に産卵にやってくるアカウミガメもその一つ。

アカウミガメは世界的にも生息数が減少している絶滅危惧種で、国際保護動物に指定。太平洋に面し砂浜の多い宮崎県の海岸線は、産卵に適しており、宮崎県は「アカウミガメおよびその産卵地」を天然記念物に指定し保護を図っている。

日向市も平成15年9月29日、アカウミガメの産卵場となる市内の海岸線を市の天然記念物に指定。民間の日向アカウミガメ研究会に調査研究を委託し、産卵上陸頭数、孵化した子ガメが海に戻った数などを記録している。

市文化スポーツ課と日向アカウミガメ研究会によると、例年60〜70頭の産卵があり、昨年は120頭が上陸し、76頭の産卵が確認された。孵化して海に戻った子ガメは7761頭を数えた。

昭和60年の調査開始当初は減少傾向にあったが、ここ数年は増加傾向にあり、増加率は県内でもトップという。文化スポーツ課の緒方博文課長補佐は「伊勢ケ浜、お倉ケ浜、金ケ浜はもとより、特に砂の海岸に変わってきた美々津海岸への上陸が増えている。宮崎市のこどものくにから一ツ葉海岸にかけての浸食が進み、上陸できない亀が北に移動している傾向が見られる」と話す。

産卵は例年5月の連休明けから始まり、8月のお盆ごろまで見られ、波の浸食を受けやすい場所にある卵は安全な場所に移動して産卵させている、という。

サーファーの自然保護に対する意識は高く、アカウミガメ研究会に加入しているサーファーもいるほど。緒方課長補佐は「孵化時期には、研究会と一緒に孵化の見学会などを行い、市民への啓発を図りたい」としている。