遺跡、名勝、資料館(延岡)

威風堂々の木造力士像

木造金剛力士像 (延岡市大武町/大武寺)

大武町の大武寺山門にある。一般には仁王像として親しまれている。向かって右側が「阿形」(あぎょう)、左側は「吽形」(うんぎょう)。もとは今山にあった蓬莱山善龍寺の山門に鎮座していた。明治元年の神仏分離令で善龍寺は廃寺に。金剛力士像は難を逃れ、大武寺に移された。しかし、腕の一部が脱落するなど傷みがひどくなり、阿形像だけを昭和30年代末に修復。このとき頭部の内側から「寛文八年京大仏師光雲」(1668年・延岡藩主は有馬家2代・康純)の墨銘を発見、京都の仏師・光雲の作と確認。修復後しばらく延岡市内藤記念館内に展示され、その後大武寺に戻された。
二体ともヒノキの寄木造で、高さはそれぞれ2.6メートルある。その姿は筋骨隆々、堂々として見る者を圧倒する。特に阿形像は眼光鋭く、握りこぶしを振り上げ、口を開けて「カーッ」と悪を一喝するような様は迫力満点。一方、吽形像は口を閉ざし、憤怒の形相で右手を広げ、悪が山門に入るのを拒む姿で立ち、阿形像とはまた違った威圧感がある。

 

 国指定

南方古墳群(延岡市天下、舞野、大貫など)

天下、舞野、大貫町など旧南方村一帯に散在する39基の古墳。天下神社境内には1号墳(前方後円墳、全長71メートル)や2号墳、3号墳、4号墳(いずれも円墳)があり、気軽に見学できる。珍しいのは大貫町の24号墳(円墳)と野田町の37号墳。24号墳は県内では数少ない横穴式石室を持つ。管理者の許可を得れば石室の中に入られる。37号墳は凝灰岩をくり抜いた大きな石棺が完全に露出している。

 

 落差30mの滝

那智の滝(延岡市川島町)

 延岡市川島町の那智山如意輪寺にある滝。落差約30メートル、幅約6メートル。冬場の渇水期はツララが下がり、夏場の増水期には迫力のある落ち水を堪能でき、滝周辺は天然のクーラーと化す。2月中旬の梅、3月末の桜、5月の若葉、秋の紅葉は見事。

 

旧高千穂鉄道連続アーチ橋「綱ノ瀬川橋梁」(延岡市北方町、日之影町)

見事な連続アーチ橋である。昭和12年、旧国鉄日ノ影線の延長に伴って築造され、延岡市北方町と日之影町の境界を流れる綱ノ瀬川と五ケ瀬川の合流点に架かる。全長417.8メートル。中央の大アーチは径間47.8メートル、上流部径間7.1メートル、下流部径間7.8メートル。径間数合計42。
平成17年(2005)9月、台風14号による水害で高千穂鉄道は廃止に追い込まれたが、綱ノ瀬川橋梁は健在。大アーチのすぐ上流側には県道237号線のアーチ橋、そのはるか上空には国道218号線の槇峰大橋の巨大アーチが天を横切っている。

 

 異様な雰囲気漂う石塔群

貝の畑石塔群(延岡市貝の畑町)

貝の畑町にある石塔と板碑の大集団。戦国時代から江戸初期にかけての五輪塔221基、石塔121基、角五輪14基、板五輪4基、竿石1基がびっしり並ぶ。霊気が漂っているような一種異様な雰囲気だが、見ごたえがある。当時の墓や慰霊碑とみられ、最も大きなものは高さ1.25メートル。 

 

巣ノ津屋洞窟遺跡

神様山(延岡市北川町上祝子)

延岡市北川町祝子川に古くから「神様山」(かみさんやま)と呼ばれる神秘的なスポットがある。「祝子川温泉美人の湯」から徒歩約15分。竹林の間に整備されている240段の石段を上った場所にあり、高さ20メートル以上はある巨岩と、その4分の1ぐらいの岩が支え合って岩屋を形成し、その中心にきれいな三角形をした岩が鎮座している。鳥居や神棚も設けられている。洞穴からは縄文時代のヤジリや土器の破片などが出土。明治18年から昭和30年までは麓の祝子川沿いにあった祝子川神社を移し祀っていた。日本神話に出てくるホウリノミコト(山幸彦)が幼少時代を過ごしたと言われる祝子川地区。「山幸彦が過ごした岩屋ではないか」という説もある。