遺跡、名勝、資料館(高千穂、日之影、美郷町)

県指定史跡

陣内遺跡(高千穂町三田井)

高千穂町といえば高千穂峡、高千穂神社、天岩戸神社、国見ケ丘、夜神楽などを連想するが、県指定史跡の「陣内遺跡」(じんないいせき)も見逃せない。
同町中心街から北へ1キロほどの陣内公民館(三田井北陣内分館)前にあり、縄文後期から晩期(約4000~2300年前)にかけて石器、土器などが多数出土した遺跡。
遺跡があることは戦前から知られていたが、昭和27年(1952)、陣内公民館を建設するため造成したとき、数え切れないほどの土器や石器に混じって、非常に珍しい石棒が発見されことから、にわかにスポットが当たった。
石棒は長さ31センチ、最大径4センチ、最小径3センチあり、溝や文様が刻まれている。後に別に見つかっていた石棒がこれの一部と分かり、長さは52センチになったが、惜しいことに先が欠けている。
県教委は昭和35年(1960)9月、詳しい発掘調査を実施。無数の土器や石器と一緒に女性をかたどった土偶が見つかった。高さ12.5センチで首はないが、腹部の膨らみと乳房は、妊娠中の女性を表現したものという。後に高千穂町教委も調査をしている。
このほか三角や円板状の石器、人物や動物を描いた土器、打製や磨製の石斧、石鎌、九州では数少ない石刀(長さ21センチ)も出てきた。
陣内遺跡は昭和51年(1976)県指定史跡に。出土品は県総合博物館西都原資料館と同町コミュニティセンターに収蔵されている。一部(複製を含む)は展示され、一見の価値がある。℡0982-72-6139(高千穂町コミュニティセンター)。2階の展示物を見る場合は200円必要。

 

国の登録有形文化財

英国館(日之影町見立)

こんな山奥に西洋の文化が―。日之影町の中心街から国道218号線の青雲橋をくぐり抜け、石垣の村の戸川地区を通り、日之影川に沿いに20数キロ。旧見立鉱山の経営者だった英国人ハンス・ハンター氏が、英国人技術者の社交場兼宿泊施設として建てたクラブハウス跡が「英国館」。
外観は日本の山小屋風だが、中は暖炉など一部を除いて床・壁すべて板張り。各部屋には鉱山の掘削用具や当時の写真、鉱山の模型、ハンター氏愛用の釣具といった資料を展示。応接セットや浴室など西洋式生活に触れられ、英国人が残した貴重な遺産といえる。
入館料大人300円、子供150円。℡0982-89-1220(年中無休・要予約)。
 

 

奇岩と美しい流れ

舟方轟(美)郷町北郷区

延岡市街から宇納間方面へ30分、門川役場からは40分。五十鈴川渓谷の岩をそぐように激流がはしる場所に「舟方轟」の案内板が立ってる。谷は浅いが、まるで青島の「鬼の洗濯岩」を横にはめ込んだような筋状の岩が独特の景観を見せる。
筋状の岩は砂岩と頁岩(けつがん)の互層。その様子が観察できるほか、甌穴(おうけつ)も見られる。舟方轟の手前約2キロの地点には、ゴツゴツした岩が連なる「黒木轟」がある。

 

4段に分かれた美しい滝

おせりに滝(美郷町西郷区)

日向市から耳川に沿って国道327号線を40分ほど。耳川支流の尾迫川(おせりがわ)を約1キロ上流に入ったところにある。滝は4段に分かれ、高さは約80メートル。要所に滝を眺める展望所があり、色々な角度から景観が楽しめる。滝つぼのそばまで行くのも容易で、滝周辺の初夏の新緑、秋の紅葉は格別。県の緑地環境保全地域に指定されている。

 

奈良正倉院と同じ鏡

西の正倉院(美郷町南郷区)

「百済の里」として知られる美郷町南郷区。その中心・神門にある「西の正倉院」には奈良・正倉院御物の「唐花六花鏡」と同じ鏡が展示されている。すぐ隣の神門神社に保存されていたもので、百済王族の遺品とされる。西の正倉院には、唐花六花鏡を含む24枚の鏡のほか、神門神社の天井裏から見つかった1003本というおびただしい数の鉾、百済王伝説にもとづく「師走まつり」の紹介した資料などが展示されている。
入館料(隣接の百済の館を含む)は大人500円、高校生400円、小・中生300円。年中無休。℡0982-59-556。