街が良くなる姿を見届けたい

街や県・市の人たちの熱い気持ちがあって杉を多用した駅舎となった。木はとても人に優しい材料である一方、人間の思ったようにはいかない。膨らんだり ねじれたり腐ったりする。駅は街の歴史になっていくくらい長期間建っていてほしい。その点で駅の材料に木を使うのは難しかった。


 新しいものができたときは、みんな、おおスゲーとか思ってくれるが、建物はだんだん落ち着いてくる。3年経って落ち着いてきている感じがとてもいい。街 の人たちが気張らずに、みんなで自由に、大切に使ってくれているのがとてもうれしい。この夏には舞台ができて、この広場が一人前になる。駅舎と舞台と広場 がそろい、みんながどんどん使えるようになる。木は年月を経てみんなのものになっていく。ぜひとも市民の人たち、外から来た人たちに使ってもらって、たく さんの思い出を残してくれればうれしい。


 一方、街が良くならないと、いくら立派な駅ができてもしょうがない。街をつくるのは街の人だけど、その手助けをするのは建築士の人たち。まちづくりは終 わりがない。ここで暮らしている建築士の人たちがまちづくりに意識を持ってもらって、少しでもいいものを作ろうとなってくれると、日向の街はどんどん良く なる。街がどんどん良くなる姿を見届けたい。


 賞をいろいろいただいたのはありがたいが、ぜひ知ってほしいのは賞を取るためにみんな頑張ったわけではない。街が元気になるために一生懸命やったことが ほめてもらったということ。賞は関係者全員でもらったものだから、みんなで喜んで、みんなで宣伝して、街の活性化に役立ててほしい。