来る高速道路時代を見据えた活動

目前に迫った高速道路新時代に備え、地域の魅力を再発見し、地域力を向上させることで、「ストロー現象」の影響を最小限に抑えようという活動が、民間を中心に活発化してきた。

 

 

 ※ストロー現象:高速道路は“両刃の剣”といわれる。高速道路が開通すると、人、モノの動きが活発となり、産業誘致、農林漁業の発展・商圏拡大、医療圏の拡大など利便性が増す反面、より便利な都会へと人の動きが集中しやすくなり、逆に都市の活力が衰退していく「ストロー現象」が懸念されている。

 

延岡発祥チキン南蛮党

 「高速道路開通時に素通りされるまちではなく、逆に『立ち寄りたくなる』ようなまちに」と、ご当地グルメを活かしたまちおこしを進めているのが、平成21年に発足した「延岡発祥チキン南蛮党」(別称・NAN BAN TRY)。
 宮崎を代表する郷土料理の“チキン南蛮”が延岡発祥であり、市内の多くの飲食店で提供されている事実に着目し、チキン南蛮の日(7月8日)の制定、提供店を網羅したチキン南蛮マップの作成などに取り組んできた。
 今年5月には、B級ご当地グルメの全国的イベント「B−1グランプリ」を主催する愛Bリーグの正会員に昇格。11月12、13日に兵庫県姫路市である「第6回B−1グランプin姫路」に初出場。全国の舞台で、延岡が誇るご当地グルメ・チキン南蛮を大々的にPRする。上荷田洋一会長は「チキン南蛮を全国区にすることで、本場の味を目当てにした交流人口の増加はもとより、それに付随する観光面での波及効果が期待できる」と期待している。


 

 

 えんぱく

  延岡商工会議所が平成22年度から取り組む「ひむかのくにのべおか えんぱく」。
 海、山、川の大自然に恵まれ、まちなかには城下町の名残りや産業遺産があり、食材も豊富な宮崎県北(ひむか地域)。そこにある様々な資源を掘り起こし、まちあるきや体験ツアーなどを中心にしたプログラムを作ることで、地域の活力を高めようという試みだ。
 初年度の22年度は22だったプログラム数は、23年度には35まで拡大。「まちは魔法の宝箱。」をテーマに、10月15日から11月6日まで約3週間にわたり、多彩なプログラムが行われている。



 

 

活道会

(高速交通ネットワークと県北地域社会の将来を考える会)

 平成18年(2006)12月、延岡商工会議所を中心に延岡、日向、門川地区の様々な分野の事業者らに参集を呼びかけて発足した民間主導による勉強会、「活道会」(高速交通ネットワークと県北地域社会の将来を考える会)がその一つ。
 これまでに、勉強会や見学会を通じ、高速道路の整備状況や観光、行政、製造業に与える影響などを学んできたほか、年1回のペースでシンポジウムを開催してきた。

 

すこっぷ

  来る高速道路時代を見据えて、日向市を食と音楽で活気づけようと活動している団体が「魅力のまち発掘プロジェクト すこっぷ」(山本実憲会長・10人)だ。
 日向市市民活動団体リーダー養成講座の第1期卒業生を中心に、食と音楽でまちを活性化させようと平成20年(2008)4月に発足。神保彰コンサート、ハロウィン前夜祭などの開催や、「日向汁食街道(しるくうろーど)」と銘打ち日向圏域の汁物を網羅したマップ作成のための調査などに取り組む。
 日向市では現在、総合長期計画の後期計画(平成23年度〜28年度)の見直しを進めており、高速道路網が整った際にストロー化現象にならないための対策を検討中だ。