細島・島野浦 郷土の魚料理

 新鮮な魚介類に恵まれた宮崎県北には、その土地ならではの魚を使ったユニークな郷土料理も多い。そのいくつかを紹介する。

 

ごんぐりかき揚げ丼(細島)

まぐろ延縄漁業の基地として知られる日向市細島に伝わる。“ごんぐり”とは、マグロの胃袋のこと。この胃袋を洗って湯がいてヌメリを取り、かき揚げにしたもので、甘辛だれと一緒にごはんに載せて食べる。
味わいにくせはなく、歯ごたえはコリコリと牛タンのよう。日向市漁協が運営する「海の駅 ほそしま」では、魚の切り身が入った味噌汁、茶わん蒸し、小鉢付きの定食が600円で味わえる。
“ごんぐり”は、なますにしたり、ネギやニラなどの香味野菜で炒めて食べたり、唐揚げにしても美味しい。
 

鯛茶漬け(島野浦)

昔は祝いの席でよく食べられたという、島野浦ならではのご馳走。「茶漬け」という名前だが、お茶をかけない。また、砂糖を使うので少し甘いのが特徴。
タイ、ブリなどの新しい魚を三枚におろし、腹骨と皮を取り、刺身の要領で少し薄めに切る。これを酒と砂糖でよく混ぜ、20分ほど漬け込んだ後、醤油、卵を入れてよく混ぜ、ゴマとネギのみじん切りを入れて熱いご飯にかければ出来上がり。

  

 こなます(細島)

こまなすも細島の郷土料理のひとつ。三枚おろしにしたカツオの両面を、強火でたたきにするぐらいにサッと焼き、小さく刻んだ後、冷や飯と塩を入れて粘りが出るまでこね、おにぎりにして炭火で焼いた「漁師の焼きおにぎり」。揚げても美味しい。
「海の駅 ほそしま」では、定食のほか、焼き、揚げともに1個100円で味わえる

たたっこ(島野浦)

島野浦に伝わる郷土料理。アジなどの魚を粘りが出るまでたたき、味噌と好みで玉ネギやショウガのみじん切り、唐辛子などとよく混ぜる。そのまま生で食べてもいいし、薄くのばしてフライパンで焼いて食べても美味。
材料の魚は、白身の魚なら何でもOK。イカを入れるとまた違った風味になるという。