県北雑学 宮崎県北の水族館

すみえファミリー水族館

五ケ瀬川・日向灘の水族140種
 延岡市の北部、風光明媚な南浦海岸の一角、須美江家族旅行村ケビン・オートキャンプ場の入り口に「すみえファミリー水族館」。日向灘などの外洋、五ケ瀬川河口の汽水域、川や池・沼に生息する魚や昆虫など、現在140種、800匹が展示されている。
 入ってすぐ正面に半円形の大型オープン水槽、その上にやはり半円形の小型オープン水槽がある。下の大水槽には「コイ」「オイカワ」「アユ」「ウグイ」など、主に五ケ瀬川の下流から中流域の魚、上段の水槽には、五ケ瀬川上流にすむ「ヤマメ」(県北ではエノハとも)が所狭しと泳ぎ回っている。
 上下の水槽の間に設けられた”擬似陸地“には、爬(は)虫類の「クサガメ」や「イシガメ」が甲羅干ししている姿が見られる。
絶滅危惧種の大型魚アカメ
 半円形水槽の右手には、外洋や汽水域にすむ比較的大型の「アカエイ」「マダイ」「ヒラスズキ」「アカメ」(県北ではマルカとも)などが入った大きな水槽がある。
 中でも注目は「アカメ」。目が赤いことからその名が付いた。幼魚のときは黒と白のタテ縞(しま)模様が見られるが、大きくなるにしたがって、縞模様は消えていく。大きいものは2メートルに達する。日本の主な分布域は宮崎県と高知県で、数が少ないため「幻の魚」ともいわれ、絶滅危惧(ぐ)種に指定されている。
 この大水槽の前には、延岡で獲れた体長110センチ、25キロのアカメの剥製(はくせい)が展示されている。もっと大きいものでは、昭和53年に日向市美々津でとれた40キロという記録がある。
エビ、カニ、ウニ、ナマコ
 ほかに、色鮮やかなことから子供たちに人気のある「チョウチョウウオ」のたぐい、華やかなドレスを着たような「ミノカサゴ」、「イセエビ」などエビの仲間、珍しい「アカモンガ二」といったカニの仲間から「ウニ」や「ナマコ」までズラリ。
 淡水魚もイカツイ顔に似合わずキレイな水を好む「アユカケ」、濁った水でも平気な「ドジョウ」や「ウナギ」と、色々な魚介類を見ることができる。
水生の肉食昆虫のタガメも
 魚介類に交じって“水中のギャング”「タガメ」もいる。昔は日本各地で見られた大型の水生肉食昆虫のタガメだが、戦後は農薬や宅地開発などによる環境破壊によって、劇的に数を減らし、現在は絶滅危惧種に指定されている。
 館内には「タッチングプール」があり、ナマコや貝類などを手で触れることができる。子供にとってはブニョブニョしてグロテスクなナマコが、珍しく奇妙な生物に見えるのか、興味深く観察したり、さわったりしている。
 また、レクチャーコーナーでは、延岡地域の川や海の地形など自然の紹介、そこにすむ生物をビデオの大画面で見ることができる。

すみえファミリー水族館
●入場料:高校生以上=300円、小・中 学生=200円、幼稚園児以下=無料
●開館時間:午前9時〜午後5時
●休館日:毎週水曜(祝日の場合は翌日)
●電話0982・43・0201

 

 

 

 

 


 

 高千穂峡淡水魚水族館

円形水槽を泳ぐチョウザメやコイ
 高千穂峡をまたぐ御橋のすぐそば、三角屋根の建物が町営「高千穂峡淡水魚水族館」。
 五ケ瀬川水系に生息する魚類を中心に、南米やアフリカ、アジアに生息する珍しい淡水魚など約100種類、1000匹の淡水魚を見ることができる。
 館内に入ってすぐ正面に、大きな円形水槽があり「コイ」「ニジマス」などに交じって、超高級食材のキャビアを採取する大型淡水魚の「チョウザメ」が悠々と泳いでいる。コイやチョウザメが間近に観察できるのがいい。
五ケ瀬川上流から下流の魚展示
 この円形水槽を中心として反時計回りに、五ケ瀬川の上流の「ヤマメ」、中流の「オイカワ」「ウグイ」、下流の「ギンブナ」などの水槽が並び、分かりやすい説明がされている。
 中でも渓流の女王といわれる「ヤマメ」は、五ケ瀬町の秋本治さんが昭和42年、養殖に成功したことでも知られる。ヤマメは身も旨いが黄色っぽいイクラも美味。同町の産業・観光に一役買っている。
 このほか、高千穂峡淡水魚水族館生まれで、顔も口もデッカク、いかにも貪欲そうな「ドンコ」、当然変異で黄金色になった「ゴールデンドジョウ」、アフリカ原産だが食用として世界に広まったが、最近あまり見かけなくなった「ナイルテラピア」も、元気に泳いでいる。 
乾燥に強いアフリカ産の珍魚も
 コイの親せきの小型魚「タナゴ」のコーナーもある。昔は全国いたるところで見かけた魚だが、開発などによって現在は絶滅危惧種になっている。同じ「タナゴ」でも、日本産と台湾産のものなどが展示され、比較しながら見るのも面白い。
 変り種は、乾季の土の中でも平気で生きられるアフリカ産の「プロトプテルス・アネクテンス」という舌を噛み切りそうな名前の魚。アフリカでは、「雨の日に日干しレンガの土壁の中から出てきた」なんていう、にわかに信じられない話もあるくらい乾燥に強いらしい。
懐かしいウーパールーパー  
 魚ではないが、20年ほど前に大ブレイクした「ウーパールーパー」も見ることができる。「メキシコサラマンダー」「アホロートル」とも呼ばれるサンショウウオなどの仲間の両生類。横顔はドジョウとさほど変わらないが、正面から見ると、まるで「スマイルバッジ」のようにかわいく、足が赤ちゃんの手のように見える。これが爆発的な人気を得て、全国総ウーパールーパーブームを巻き起こした。
 ひと通り見終わったら、「絵かきコーナー」で”ぬり絵“が楽しめる。用意された色鉛筆で自由に描くことができ、作品の一部が入り口の壁などに展示されている。
「おのころ池」にもチョウザメ
 もう一つ、高千穂峡の淡水魚に関する見どころは、真名井の滝の上に位置する「おのころ池」。すぐ上の「玉垂れの滝」から流れ出る澄んだ水をたたえ、多数のニジマス、コイ、チョウザメが遊泳している。エサ(100円)をまくと、魚族世界の生存競争のように、エサめがけて一目散に集まってくる。
 見るだけではおさまらない人には、おのころ池近くの釣堀で、ニジマス釣りを楽しむことができる。
 

高千穂峡淡水魚水族館
●入場料:高校生以上=300円、小・中 学生=200円
●開館時間:午前9時〜午後5時
●休館日:12月31日と1月1日。それ以外は無休
●電話0982・72・2269

 

 

 

 

 


珍魚 県北で見つかった珍しい魚を紹介します。

 


リュウグウノツカイ

延岡市北浦町古江阿蘇の「道の駅北浦」に怪魚「リュウグウノツカイ」の剥(はく)製標本が展示されている。平成3年(1991)2月6日、北浦湾で捕獲された深海魚。体長3.3メートル、重さ20キロ。まるで太刀魚(たちうお)のお化け。大きなものは10メートルにも達する。この魚が打ち揚げられたりすると、地震の前触れという人もいる。(同町下阿蘇、河野重春さん寄贈)

 

 

アカメ

河口などの汽水域に生息する大型の肉食魚で、体長は1メートル以上にもなる。暗い場所では目がルビー色に光って見えることから、「赤目」の名が付いたと言われている。宮崎県内ではマルカと呼ぶ。
以前は高知県の四万十川水系にだけ生息する“幻の魚”と言われていたが、宮崎県内では昔からほぼ全域の河川河口部および隣接する沿岸域に生息し、漁り火漁やルアー釣りのターゲットだった。
ただ、現在は絶滅の恐れがあることから、宮崎県の指定希少野生動植物に指定され、捕獲が禁止されている。