外洋にいる鳥

外洋にいる鳥


枇榔島


カンムリウミスズメ

写真提供:門川町役場総務企画課

地球上最大の繁殖地「枇榔島」

【カンムリウミスズメ】

門川町の町鳥。大きさは、街で見かけるハトより少し小さいくらい。頭部から頸部にかけては黒っぽく、体の上部は青灰色、下の方は白い。夏は頭部の羽毛が数センチ伸びて、冠(かんむり)状になる。これが名前の由来。3~5月にかけて岩の割れ目などに1、2個の卵を産む。オスとメスが交替で抱卵、30日ほどで孵化(ふか)する。孵化して間もなく、ヒナは崖をころがるようにして、親の待つ海面へ向かう。一度外洋に出たら、繁殖のとき以外は丘に上がることはまずない。
日本では門川町枇榔島のほか、福岡県の筑前沖ノ島、東京都の式根島、三宅島などに繁殖地があるが、全地球の個体数は約5000羽。そのうちの3000羽あまりが枇榔島の固体。地球上最大の繁殖地であり、絶滅の有無は、枇榔島がカギを握っているといっても過言ではない。

環境省が鳥獣保護区に指定

同島は門川漁港の東7キロ。最も近い陸地まで3キロの絶海の無人島。最高地点は標高75メートル、周囲約1.5キロ。ほとんどが柱状岩の絶壁なしているが、波打ち際の岩場は絶好の釣り場になっている。
カンムリウミスズメのほか、やはり絶滅危惧(きぐ)種のカラスバト(国指定天然記念物)やウチヤマセンニュウなど繁殖地にもなっていることから、「九州のガラパゴス」と表現されることも。
そこで環境省は平成22年11月、「国指定枇榔島鳥獣保護区」「国指定枇榔島特別保護区」にした。その範囲は、枇榔島とそのすぐ北にある小枇榔を含め、島の海岸線から1キロ以内の482ヘクタール。

「釣り人はマナー守って」

「最も心配されるのは、ヘビなど爬(は)虫類と、ネズミなど哺乳類の侵入だが、すでにカラスの被害が出ている。釣り人がエサや弁当の残りなどをそのままにしておくと、カラスがやって来て、卵やヒナを狙うので、絶対やめてほしい。また、釣り糸がクチバシや足にからまって、命を落す鳥も少なくないので、釣り糸も必ず持ち帰ってもらいたい。マナーを守るように」と、日本野鳥の会のメンバーは口をそろえる

アナドリは枇榔島が北限

【オオミズナギドリ】

ミズナギドリの仲間の夏鳥で、日本のミズナギドリでは最大。羽を広げると120センチほどある。県北では門川町沖の枇榔島などに渡って来る。繁殖期以外は海洋ですごす。

【アナドリ】

ミズナギドリの仲間。ムクドリほどの大きさで黒っぽい色。枇榔島が繁殖地の北限になっている。